5月5日 こどもの日

こどもの日とは、「こどもたちの人格を重んじ、幸福をはかるとともに、お母さんにも感謝する日」です(祝日法より)

端午の節句は男の子の節句と言われますが、こどもの日には、もちろん男女の区別はありません。お母さんに限らず、お父さんに感謝してもいいですね。

実はこどもの日は、世界中の国々にあります。祝日の場合も多く、祝日ではなくても、幼稚園や小学校は休みだったりすることが多いようです。

ルーツは、1925年にジュネーブで制定された6月1日の「国際こどもの日」。第2次大戦をはさんで、1954年、国連は改めて11月20日を「世界こどもの日」としました。

こどもの日の由来・端午の節句との違いとは?

上述のように、こどもの日は法律に定められた国民の祝日。戦後生まれです。端午の節句は、「五節句」という奈良時代から続く伝統行事。「国民の祝日」と「伝統行事」という違いですね。

ちなみに五節句とは、季節の節目を表す日。江戸時代には幕府の公式の祝日で、賑やかなお祭りの雰囲気があり、明治5年まで祝日でした。

そんな端午の節句とこどもの日は、なぜ同じ日なのでしょう? 

第2次大戦を経て戦後、新しく祝日を制定する際に、「日付を押しつけるのではなく、国民の感情に深くつながった、文化的な日を祝日にすべき」という意見が出ました(国会会議録:昭和23年2月2日)。

こどもの日の候補は、3月3日(桃の節句)・4月1日・5月5日・11月15日(七五三の日)など、いろいろあったようですが、

「祝祭日には草餅・ちまき・柏餅・そうめんなど、食べ物が加わると大変なごやかなものが生まれてくる」(同2月6日)
「やはり春から初夏にかけての時期を選びたい」(同4月26日)

といった意見が出て、結局、5月5日が選ばれました。同時に、天皇誕生日(4月29日)・憲法記念日(5月3日)も祝日になることが決まりました。

当時、5月1日はメーデー(労働者の日)で休む会社も多かったのです。春から初夏に移り変わる絶好の行楽の季節に、大きな“飛び石連休”が生まれることになりました。

後のゴールデンウィークの誕生です。私たちが現在、行楽を楽しめる大型連休にもこんないきさつがあったのですね。

こどもの日は何をする?

そんなこどもの日には、伝統文化に基づいた行事がおこなわれています。

【鯉のぼりを揚げる】

こどもたちの健やかな成長を願って揚げられる鯉のぼり。江戸時代から始まった風習です。

もともと、武士が玄関に幟(のぼり)や旗指物(はたさしもの)を飾っていたことから始まったようです。

その後、町人も行うようになり、五色の「吹き流し」(鯉の形をしていないもの)や、出世魚であり、「滝を登り切った鯉は竜になる」という中国の故事にちなんだ、縁起のいい鯉の形のものが揚げられるようになったのだとか。

【五月人形を飾る】

こどもたちの力強くたくましい成長を願って、五月人形を飾ります。
鎧や兜は、こどもたちを災いから守ってくれるように…との意味が込められています。

五月人形には、甲冑や弓矢などひと揃いになった「鎧飾り」、勇壮な兜だけの「兜飾り」、武者姿をしたかわいい子どもの人形の「武者人形」の3タイプがあります。

【菖蒲湯(しょうぶゆ)に入る】

端午の節句に菖蒲(しょうぶ)を用いるのは、古代中国から伝わる風習です。屋根につるして魔除けにしたり、刻んでお酒に混ぜて飲んだりしていたのだとか。

菖蒲にはアサロンやオイゲノールといった精油成分が含まれています。また、お風呂に入れて菖蒲湯にすると、暑い夏を健康に乗り切れるとも言われています。

端午の節句は何を食べる?

【柏餅(かしわもち)】

こどもの日の食べ物といえば、やはり柏餅。ふんわり漂うカシワの葉の香りが、おいしさを増してくれます。

カシワは、新芽が育つまで冬の間も古い葉が落ちないことから、「子孫繁栄」につながるとされる縁起のいい植物。地方によってはサルトリイバラや朴葉といった、別の葉で代用されることもしばしばです。

中の餡は、つぶあん・こしあんがメジャーですが、最近は芋あん・ずんだあん・白味噌あんなど、バラエティ豊富です。

【ちまき】

これも、こどもの日の甘味のひとつ。甘いお餅をササの葉で包み、蒸し上げたお菓子です。

お菓子としてのちまきは、どちらかというと東海~九州北部が中心。北海道~関東甲信では中身がおこわであることが多いようです。

端午の節句は、お菓子は豊富ですが、これといった食事があまりないですよね。家庭で料理をふるまうときは、おこわと笹の葉で手作りちまきを作ると喜ばれるかも。

【タケノコ】

タケノコのシーズンはちょうど4月からゴールデンウィークにかけて。
いろどりの良い炊き込みご飯などにすると、アクも強くなく、香りと歯応えが楽しめますね。

成長が早く、生命力にあふれたタケノコは、こどもの日にぴったりの食材。竹にあやかってまっすぐすくすくと育ってほしいとの願いが込められています。