冷やご飯ダイエットとは、炊き立ての温かいご飯を食べるのではなく、冷めた状態のご飯を食べるだけの簡単に始められるダイエットです。
糖質制限ダイエットのように、お米を我慢する必要はありません。
温かいご飯も冷たいご飯も糖質であることは間違いないのですが、冷たいご飯のほうがダイエット効果が期待できるといわれています。
それには、でんぷんのメカニズムが関係しています。
まず、でんぷんには、
①水分と熱を加えることで「糊化(こか)」=消化吸収しやすい形態になること
②それが冷めたり水分が抜けたりすると「老化」といわれる、少々固くなる現象が起こる
③再度加熱すると「再糊化」する
という一連のメカニズムがあります。
でんぷんの中でも、タイ米やインディカ米、タピオカ、じゃがいもなどに含まれるでんぷんは冷えると固くなりやすく、食物繊維のような働きをします。そうなると人の消化酵素で消化されず、吸収されないため、人の栄養としてカロリーにはなりません。その代わりに、大腸まで届き、腸内細菌のエサになります。消化吸収されにくくなった状態のでんぷんをレジスタントスターチと言い、「冷やご飯ダイエット」はこのメカニズムを利用したダイエット法です。
糖質であるはずのご飯を食べても痩せるって少し不思議に思いますよね。
しかし、冷たいご飯だからこそ痩せる4つの理由があります。
1-1-1.レジスタントスターチ(難消化性でんぷん)が食物繊維として働く
ご飯の主成分であるでんぷんは、冷めることで難消化性でんぷん「レジスタントスターチ」に変化します。
このレジスタントスターチが食物繊維と同じ働きをするため、ご飯を食べることで野菜と同じような食物繊維を摂取することができるのです。
一般的に食物繊維はミネラルの吸収を妨げるといわれていますが、レジスタントスターチはミネラルの吸収を妨げないことが分かっています。
そのため、ダイエット中によくあるミネラル不足によるイライラや貧血の危険性を低くすることができます。
1-2.糖質や脂肪の吸収を緩和する
温かいご飯がダイエットに向いていないといわれる理由は、小腸ですぐに吸収されて、急激な血糖値上昇を引き起こしやすく、エネルギーとして使用されない糖質は、脂肪として体に蓄積されるからです。
一方、冷えたご飯に含まれるレジスタントスターチは、小腸で吸収されにくいということと、食後の急激な血糖値の上昇を抑えてくれる働きがあります。
そのため、温かいご飯と比べて、ダイエットに期待ができます。
1-3.ムダ食いが減る
ダイエットではよく噛むことが大切といわれますよね。
その理由はよく噛むことで満腹中枢が刺激され満足感が高まり、自然に食事量を抑えることができるからです。
冷やご飯は、温かいご飯よりも噛む回数が多くなるため、満腹中枢が刺激されて満腹感を得やすくなります。そのため、温かいご飯と比べて、少量でも満足するため、大食いを防ぐことができます。
また冷やご飯に含まれるレジスタントスターチは消化されにくく腹持ちもよいため、ダイエットに適しています。
2.レジスタントスターチは腸活に効果あり!

冷やご飯に含まれるレジスタントスターチは、腸内細菌がたくさん暮らす大腸まで届きます。
大腸内の有用な腸内細菌のエサとなることで発酵し、腸の健康に欠かせない短鎖脂肪酸を作ったり、ビフィズス菌をアシストすることで腸内環境を整えることも期待できます。
2-1.レジスタントスターチは第3の食物繊維
先にご紹介したとおり、レジスタントスターチは食物繊維と同じような働きがありますが食物繊維は2種類に分けることができます。
1つ目は、非水溶性食物繊維です。
腸の運動を活発にする働きがあるため便秘気味な人にとっては、必須の栄養素となります。
腸内の常在細菌のエサにはならないのですが、腸内を育む寝床のような役割を果たしています。
2つ目は、水溶性食物繊維です。体内で消化・吸収されない代わりに、大腸まで届き有用菌の大好きなエサとなります。
有用菌が分泌する短鎖脂肪酸という有機酸が体内に入ることで、免疫系や代謝系、脳機能に影響を与え、健康を維持することができるのです。
食物繊維は大きく分けると2種類ですが、レジスタントスターチはこれら両方の効果を併せ持つことから「第3の食物繊維」と呼ばれています。
2-2.腸内環境の改善
レジスタントスターチは食物繊維と比較すると、短鎖脂肪酸の中でも特に酪酸量を増やす効果があります。酪酸は、大腸の上皮細胞の主要なエネルギー源であり、正常な細胞の機能や構造を保つために役立つ短鎖脂肪酸であると考えられています。
3.冷やご飯ダイエットのポイント
3-1.冷やご飯を温め直さない
ご飯が冷える過程でできるレジスタントスターチですが、一旦冷えてレジスタントスターチができたとしても温めなおすと消化吸収されやすいもとの形にもどるため、その効力は失われてしまいます。
ダイエットとして冷やご飯を食べる時は、ご飯やおにぎりを温めなおさないようにしましょう。
3-2.急激に冷まさない
ご飯を急激に冷やすとレジスタントスターチになりにくいので、時間をかけてゆっくりと常温で冷ますようにしましょう。
3-3.食べ過ぎに注意
しかし、温かいご飯と比べて、冷やご飯の方がヘルシーだからといって、食べすぎには注意です。
女性が1日に食べていいご飯の量の目安は、茶碗3~4杯程度です。
毎食冷やご飯に置き換えたいところですが、温かいご飯も食べたいならば、最初はすべての食事を冷やご飯にするのではなく、1日のうち1食を冷やご飯にするのがおすすめです。
特に血糖値が上がることで脂肪に変わりやすい、夕食を置き換えると良いでしょう。
毎食冷やご飯の場合も、食べ過ぎれば太りますから、この目安以上にならないように心がけましょう。