こまめな水分補給が効果的
日本の厚生労働省では、「身体の中の水分が不足すると、熱中症、脳梗塞、心筋梗塞など、さまざまな健康障害のリスク要因となり得る」ことについて注意をうながしています。
児童生徒等を中心に、スポーツなどにともなう熱中症による死亡事故が後を絶たたないことに対し警鐘を鳴らし、さらに「中高年で多発する脳梗塞・心筋梗塞なども水分摂取量の不足が、大きなリスク要因のひとつとなっています」と説明しています。これら脱水による健康障害や重大な事故などの予防には、こまめな水分補給が効果的と言えるでしょう。
寝る前、起床時、スポーツ中及びその前後、入浴の前後、そして、のどが渇く前に水分補給を心がけることが重要となります。
■【水の一日の摂取量の基準】水は一日どれくらい飲めばよいのか?
1日に必要な水分の摂取量は、身体を動かす活動量によって異なります。欧米の一般的な調査では、活動レベルが高い人は「1日3.3リットルから3.5 リットル程度」、活動レベルが低い人は「1日2.3リットルから2.5 リットル程度」と推定されています。
しかし、性別と年齢による分類がない上に、明確な必要量ではないため、あくまでも「目安量」として考えることが適切と言えるでしょう。
では、それ以外に、水を飲まなければどうなるのかを示唆した6つの症状を研究結果をもとご紹介しましょう。
【1】病気にかかりやすくなる ― 水を飲まないと身体に起こりうる健康への影響
水をたくさん飲むことで、腎臓結石、泌尿器系の癌(がん)・大腸癌、心臓発作に罹患する可能性が低下することを示す研究があります。

Getty Images3 of 10【2】代謝が悪くなる ― 水を飲まないと身体に起こりうる健康への影響
人は体内の水分量が増えると、基礎代謝率(安静時の消費カロリー)が上がることが研究結果からわかった…」と述べています。
3】頭の回転が悪くなる可能性 ― 水を飲まないと身体に起こりうる健康への影響
ロンドンのキングスカレッジの精神医学研究所が発表した研究によると、脱水状態の10代の学生の脳の働きは委縮する傾向がある事例を発表しています。
実験で、問題を解く試験をさせたところ、「脱水症状の10代の学生は、水を十分に摂取している10代の学生と比較して成績は同等でしたが、同じ成績をとるために脳がより重労働を課されている」という結果を導きました。
そして、「十分に水を摂取すると、脳は正常に回復した」という研究結果を報告しています。

Getty Images5 of 10【4】食べ過ぎになる ― 水を飲まないと身体に起こりうる健康への影響
公衆衛生と「水の研究所(Institute for Public Health and Water Research)」が出資して行った、45人の成人を対象とした研究結果をご紹介しましょう。
その研究では、「食前に約230mlのグラス2杯分の水を飲んだ人の食事摂取量は、飲まなかった人より75キロカロリーから90キロカロリー少なかった」という結果を導き出したということです。
それに伴い、「食前に水を飲んだ人は、飲まなかった人より3カ月間で平均約2.3kg体重が減った」という結果も報告されています。
5】顔のシワが増える? ― 水を飲まないと身体に起こりうる健康への影響
先の【2】で紹介したムラド博士は著書の中で、「水には肌をふっくらさせる効果があり、シワなど、皮膚の隙間を水分で満たし、顔の色艶を良くする効果があることもわかった」と言及しています。

Getty Images7 of 10【6】 機嫌が悪くなる ― 水を飲まないと身体に起こりうる健康への影響
マサチューセッツ州メドフォードにあるタフツ大学の研究者は、ボートチームの男女を2つに分けて実験を行いました。
一方をA班とすると、A班には十分な水を飲ませないで、60~70分間の激しいエアロビクスをさせます。そして、もう一方のB班には適切な量の水分を摂らせて実験を行ったそうです。
すると、脱水状態の集団…つまりA班のほうが、疲労感、混乱、怒り、抑うつ、緊張感を訴える傾向にあったという数値となったそうです。