良質な睡眠

また、寝入ってから2~3時間後に分泌されるのが成長ホルモンです。「これ以上身長が伸びるわけではないから、成長ホルモンが分泌されなくても関係ない」と思っていたら、大間違い。成長ホルモンは単に「成長」を促進させるだけでなく、「細胞の修復」や「疲労回復」に役立っています。肌=皮膚や内臓の細胞を新しいものに入れ替える「ターンオーバー」は、成長ホルモンによって行われるのです。そのため、成長ホルモンを「若返りホルモン」と呼ぶ専門家もいるほどです。
明け方になると、成長ホルモンに代わってコルチゾールというホルモンの分泌が高まります。コルチゾールは、体内に蓄えられた脂肪をエネルギーに変えるホルモンで、体が目覚める準備を始めるのです。睡眠の質がよくないと、成長ホルモンが十分に分泌されないうちにコルチゾールの分泌が高くなってしまいます。「睡眠が不足しているなぁ」と感じた翌朝に、肌のコンディションがよくないと感じたことはありませんか。それは、成長ホルモンが十分に体にいきわたっていないからかもしれません。

質のいい睡眠のために必要なこと

人間には体内時計があり、それが1日の24時間とずれているため睡眠にも影響が出るといわれています。体内時計は24.5時間とも24.2時間ともいわれてきましたが、最新の研究では24時間11分と発表されています。たかが11分と思うかもしれませんが、放っておくと1週間で1時間以上、1カ月にすると4時間以上もずれてしまうことになります。これをリセットして24時間と合わせることで、生活のリズムが生まれます。そして夜になったらメラトニンという睡眠をうながすホルモンが分泌されるため、質のいい睡眠も可能になります。
体内時計をリセットするのに有効なのは、まず朝起きたときに太陽の光を浴びること。これによって、体内時計の「親時計」を目覚めさせることができます。しかし体の奥深くにある「子時計」には光が届きません。そこで子時計も目覚めさせるために、食事を摂る必要があります。太陽を浴びてから、あまり時間をおかずに朝食を摂る方がいいと考えられます。

運動は夕食後1時間以上たっていて、床に就く2時間以上前までに行うといいでしょう。適度な疲労感は、睡眠のよきパートナーです。しかし寝る直前に運動すると体温が高くなりすぎ、寝付くことが難しくなりますから注意しましょう。
入浴はシャワーですませるのではなく、40度くらいのぬるめのお湯にゆっくりつかるのが効果的です。リラックス効果が得られるだけでなく、高くなった体温を放熱しようと血管が開くことで、副交感神経が優位になります。そして血流のよくなった四肢から熱が逃げていき、体温が下がることで寝付きやすくなるのです。風呂上がりに手首や足首を伸ばすといった軽いストレッチを行うことも、質のいい睡眠の後押しとなります。