酒を「百薬の長」とするためには、肝臓を疲れさせないよう、負担を少なくすることです。そのためには、脂の少ない肉、魚、豆腐など、肝臓に活力を与える高タンパク、高ビタミンの肴を摂りながら飲むのが良いでしょう。日本酒を1日に1から2合、刺身や焼き魚、豆腐などの和食を肴に嗜む(たしなむ)という昔ながらの飲酒パターンは、理に適った知恵と言えそうです。アルコール度数の高い酒を一気に飲んだり、空腹時に何も食べずに飲んだり、また脂肪分の多い肴を摂り過ぎると肝臓に大きな負担をかけてしまいます。
日本酒や酒粕についての機能性が解明されつつあります。これまで、血圧降下、粗鬆症防御、アレルギー抑制、糖尿病予防、健忘症の予防、老化防止、肝障害予防、保温・保湿などとの関係について確かめられてきました。機能性に関与する有効成分が何であるか、その探索も進んでいます。日本酒は発酵を経て700種類以上という多種多様な成分が醸し出されます。その中には原料の米の段階にはなかった機能性を持つ成分が含まれています。発酵の途上では、麹菌、酵母という2種類の微生物の働きで米の成分が機能性物質に変換され、さらに生産された物質どうしが化学結合することで機能性の幅を広げています。
酒粕ペプチドにさまざまな機能性
「酒粕ペプチド」には、アンギオテンシン変換酵素の働きを阻害することで血圧を降下させる機能性があることや、肝機能を保護し肝障害を予防する機能が見られることなどを明らかにしてきました。
血圧降下作用
酒粕由来ペプチドはACE活性を阻害する直接的な働き以外に、血圧上昇を防止する体質改善のような働きに関係すると考えられています。
肝障害予防
酒粕ペプチドをマウスに経口摂取させて肝障害予防効果を検証したところ、肝障害の指標となる酵素(GPT、GOT)の有意な減少が確認できました。
多数の科学者が飲酒量と死亡率の関係を統計的に処理し、虚血性心疾患の予防に有効なアルコール量を算出しています。これらの結果から導き出された適当な飲酒量は、個人差はありますが【日本酒で1日1合から2合】、【ビールなら大びん1本から2本】と言われています。